アナタは、炎の真ん中に何があるか知っていますか。

3番目の目で見た・オオハマのおじ~どうしても伝えたい話5

2007年10月01日


こうして生まれてはじめて
親子の絆というものを理解した
カマルさんでした。


それから、少しづつカマルさんは、トーマスさんとのことを全て
おばのチルーさんに話しました。

「ハァ・・・ そーだったの・・・ 
でもねカマル、そのトーマスさんが必ず戻ってくるって言ったってネェ、
国までたどり着くのだって無事にすむというわけでもないのに、
ましてやまた戻って来る時だって・・・ 」


「わかってます・・・わかっているんです。
私も毎日のようにそのことばかり考えてしまうんです。
考えちゃいけないって思っても、あの人に何かあったら・・・戻ってこなかったら、もし死ん ・・・」


言葉をつまらせ、涙ぐむカマルさんでした。

「あぁ、もうわかったから、あのねカマル、私からそのトーマスさんとやらに少し話をしてみるから・・・」

「話・・・ って・・・ おばさん?」

「だからね、子供も生まれるってのに何でわざわざ国に帰んなきゃなんないの? 
そんなことは子供がちゃんと成長して、立派な大人になってからだっていいじゃない、
どのみちね、年とって死んで天国に行ったら、父親にも母親にも会えるんだから、思う存分一緒にいられるんだから、別にね、何だったら天国に行ってからミーボンの時に、国に帰ればいいじゃない!」
                                                                                                                                                                      
「おばさんったら・・・」

「だけどね、カマル、幼いうちから親もなく育つ子供の思いは、
あんたが一番その辛さ、わかるよね・・・自分の子供にも同じ思いさせるつもりなの?だからね、私からトーマスさんに話をしてみるから、国に帰るのを止めて、あんたの側で暮らしなさいって!」


だ・・・だめよ、おばさん! トーマスにそんな話・・・
彼だって本当はまだ迷っているようだし・・・私・・・私のわがままでそんなこと言ったら・・・」


キッとした表情でスッと立ち上がり、

「いいえ!!あんたがどう言おうと私は絶対にトーマスさんには、
ここに残ってもらうよう話をします。
何が「私のわがままで」よ、カマル!あんた、まだわかってないようだね。あんたの気持ちだけで考えることじゃないんだよ、お腹の子の為でもあることなのよ!
あんたは、母親になるんだよ、 「母親」よ!! 
もう少し強くならないとだめよ!! これじゃ何も守ることなんてできやしないよ・・・ 大切な人、なくしてもいいの?」


「・・・・・・・・・・・」

キッパリと言い切ったおばのチルーの言葉に対して、
だまったまま首を横にふるカマルさんでした。

「とにかく、私は明日・・・ あー明日は忙しいから、
あさって、トーマスさんに話をしに来るから、家にいるようにってあんたから伝えておきなさい。
いいね、二人ともどこにも逃げないで家にいるよう・・・わかった?」

言葉を残しておばのチルーさんは、困った表情のカマルさんを後にして、
スタスタと帰っていったのでした

こうして、そんな出来事があったその日の夕暮れ時、
カマルさんはずっと、おばの話をトーマスさんにどうやって伝えようかと
考えてはため息ばかりをついていました。

「ハァー・・・トーマスに、なんて言えばいいのか・・・」

ガタガタッ、と勝手口の戸が開き、長い道のりを歩いてくたくたになったトーマスさんが帰ってきました。
そのトーマスさんもまた、帰り道の間中、同郷の船員たちの頼まれごとをカマルさんに
どうやって説明すればいいのか、ずっと考えていたのです。

「・・・hi・・・カマル・・」
「ア・・・ナーニッカ ナトーミシェーサヤ・・・」










つづく
   

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