奇妙な世界に踏み込んだ・・・「金龍王だ…」・・・P8.4 |
2007年08月10日 |
そこへは子供達も連れて参拝をした。
金龍―正義を通し
識名宮 (那覇市)場所
深妙な面持ちの私とは逆に子供達はピクニック気分といった感じで、手をあわせる私の側で、同じように手を合わせながら、何度もおじぎをして、 「大っきくなれますよ~に」 と願い事をする我が子のその姿に、何だか励まされたような気持ちになって 「泣き事ばかり言ってたら、親失格だよね。子供達を守る為にも強くならなくっちゃ……」
そう思い、気合いを入れなおしてから手を合わせた時、目の前に金龍王が現れた。私が願いを唱え終わると、私に向かって真っすぐ正面から向かってきた。私も正面から来る金龍王をしっかりと見つめた。
私とすれ違う寸前で何故か金龍王は、その美しいさんご色の瞳をギュッと閉じた。

そして、そのまま私の中から3番目の魂を抜き取った。

事を終えたと思い戻ろうとしたが、金龍王は消えることなく昇天もせずその場に立たずんでいた。
どうしてだろう?と思って金龍王を見つめた。
そして、 「持っていて下さい」 と金龍王が一言いうと、スーッと何か妙なものが私の目の前に近づいてきた。それは両端に鎌のような刃のついた、なぎなたみたいなものであった。何となく形見分けをされた様な気がした。それを受け取り訳を聞こうとしたら、金龍王の方から先にこう言った。
「私は今、忘れていた記憶を取り戻した。あなたの願いを聞き留めた後、龍王としての時を終えてしまっても、今とり戻した記憶を結して失いたくない、絶対に忘れたくないのです。その為にも、これをあなたに持っていてほしいのです。」 ゆっくりと昇天しながら、そう言って金龍王は見えなくなっていった。
龍神達の思いなど全く知らずにいた頃だった。だから、金龍王の言葉の意味をその時の私はまだ理解できなかった。

そのお宮は、小さな子供達が無邪気に遊びまわる
保育園の敷地内にあった。
粋龍―純心を保ち
安里八幡宮 (那覇市)場所
その一角にこじんまりとした社が設けられていて、子供達を見守るかのように八幡の神が祀られている場所であった。そこには水のように透き通った瞳の粋龍王が立ち、前の龍神達と同じように私が願いを唱えた後すぐに、言葉をかわすこともなく私から4番目の魂を抜き取り、あっという間に飛び去って行った。余りにもあっけなく私の魂を持っていった粋龍王に、戯言な態度を感じた。 「何?あれ、なんかムカつく」
などと思いながら、帰り支度をしていると保育園の子供達が私の方に駆け寄り、話しかけてきた。「ねえ、ねえ何ウートートーしてるの?意味ないよ、ウートートーしても神様なんかいないんだから・・・」

まだ幼い子供の口からそういう言葉を聞かされてしまうと、なおさらへこんでしまい 「そうか?」 と聞き返したら 「うん、そうだよ!」 とあっさり
言われて 「もしかしたら、そうなのかも・・・・」 と思った自分がいた。

5番目に、末吉宮に行ったが、
何度呼びかけても龍神が現れることも無く、龍神どころかいつもなら何だかんだと出てくる
ヌール神すら現れることもない、今までに感じたことが無いほどひっそりと静まり返った山合いの広い
公園内にあるお宮だった。
そこは、学問の神様を祀る社で、受験をひかえた学生達が合格祈願に訪れたりする場所でもあり、
遠くに首里城を眺める高台であった。
何だか気が抜けて我に返ると、心地よい風が吹いていることに気がついた。
私は何も無いその状況に、とても久しく安堵を感じた。
いつの間にか忘れかけていた 「安らぎの一時」 というものを思い出した。


末吉宮 (那覇市)場所
つづく
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